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Rick-Rack


2009年に結婚。激動の一年でした。2010年もいい年になりますように。
by rick-rack
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悪魔のささやき

「悪魔のささやき」
加賀乙彦 著
集英社新書
2006年8月

新書は普段それほど読むわけではありませんが、
テーマによっては購入することもあります。

この本については・・・。
一旦新書コーナーで見て買うかどうかちょっと迷い、
しかし別のコーナーに移動してからもやっぱり気になって
結局購入したというもの。

内容については
帯の「人はなぜ思わぬ悪事に手を染めてしまうのか」というコピーにあるとおり、
主に犯罪心理について書かれています。

「なぜあんなことをしたのか自分でもわからない。
 なんだか自分ではない者の意志によってしてしまった気がする。
 本当に悪魔にささやかれたとしか思えない」

著者は精神科医として勤務を始めたときから、
犯罪者や自殺未遂者の口から幾度と無くこのようなセリフを聞いたそうです。

魔が差した、という瞬間的なものよりも
もっと強く持続する力を持つ「悪魔のささやき」。

しかし、これは何も特別な犯罪者だけに起こることではなく、
「悪魔にささやかれた」としか言いようの無い現象が
人間には確かに起こりうるということ、
そして、近頃は特にそれが起こりやすくなっている、と本文中で著者は語ります。
具体例としては戦時中の日本人や、某カルト教団の起こした凶悪な事件など。。。

そのようなことに陥らないための対策としては、
まず、常日頃から他の誰でもない自分自身が
自分の行動や思想を判断・決定する能力をそれぞれが身につけること。

自分の判断で行動するという思考ができなければ
自分以外の強い者の意志に簡単に流されてしまうことが起こり得る。

その物事が正しいことなのかどうかの判断もできずに、
相手に言われたからそう考えるようになってしまっただけなのにもかかわらず
さも自分でもそう思っているように考えるようになってしまうことにより
自分で考えて行動するということが出来なくなり、
簡単に思想・行動を自分以外の他人にコントロールされてしまう。。。

また、自分で物事を判断するベースとして、
世の中の物事について広く深く見聞を広め、
正しい知識を身につけることも大切とのこと。

現代人はテレビやインターネットなど情報収集手段は沢山あれど
結局自分の興味のある分野についてのみを選んで情報を得ており、
その知識はものすごく狭い範囲に限られていると指摘しています。

これは結局、日本が戦時中に自国の新聞やラジオの規制された情報のみしか
知らされず、外国の様子を正しく知ることがなかった人たちが
軍部の思うまま軍国主義・帝国主義という思想を持って
戦争に賛同していたことなどにも起因する要素のひとつでもありました。

「自分だけはだいじょうぶ」
「犯罪者は特別な人間で、自分とは全く関係のない人種」
と安直に思ってはいけない、のかも。。。

常に冷静で多面的な判断ができるよう、
日ごろから見聞を広め、自分自身の意見を持って
物事を見つめる訓練をしていこう、と気が引き締まる思いがしました。
by rick-rack | 2006-10-29 02:01 | 読書
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